[SR:Returns] First Impression
当初の予定より一ヶ月遅れましたが、無事にリリースされました。一段落したのでインプレを。
Shadowrun と言えば Xbox360 でプレイしていたシューターは大変面白かったです。当時、フルプライスでマルチオンリーのタイトルが珍しくてレビューではフルボッコにされていましたが…。更に TRPG の Shadowrun とは別物になってて、そちらの方面からも攻撃されていたような気がします。
Shadowrun: Returns は、その TRPG のデザイナーである Jordan Weisman が率いるチームによって開発されました。Kickstarter では短期間で目標額を大幅に上回る出資がなされ、未だ衰えないブランド力と期待値の高さを垣間見ることができました。
本作には強力なエディターが付属しており、プレイヤーがオリジナルのシナリオを作成することが可能です。Steam Workshop に対応しており、既に幾つかユーザ作成のコンテンツがアップロードされています。製品には “The Dead Man’s Switch” という公式シナリオが一つ付属しています。
キャラメイクは性別、種族、アーキタイプ、ポートレイト、容姿、エチケット(社会的な地位みたいなもので、交渉時に選択肢が増えることがある)、名前を設定します。
種族はヒューマン、エルフ、ドワーフ、オーク、トロルの中から選択。種族によってステータスの上限が定められているので、向き不向きがあるのかもしれません。
容姿はポートレイトに合わせたプリセットが用意されていますが、ヘアスタイルや肌の色など別個に変更する事も可能です。まぁ、外見は装備する防具に左右される方が大きいです。
キャラクターの能力は能力値とそれぞれ対応したスキルで決まります。特定のクラスがあるわけではなく、最初に Street Samurai のアーキタイプを選択しても、後からハッキング能力や魔法の能力を上げることも可能です。
所謂スキルポイントは “Karma” という名称で、ミッションの目標を達成する等して獲得していきます。敵を倒して経験値を稼いでレベル上げするというわけでは無く、何かを達成するとポイントが得られる感じになっています。ちなみに、戦闘では死体をルートすることも出来ないので得られるものはあまりありません。
キャラクター作成時に与えられる Karma は全部使いきらなくても、プレイ中にいつでも振ることが出来るので初見の場合は様子を見ながら振っていくのも良いんじゃないでしょうか。
プレイ画面は俯瞰タイプでカメラの回転は出来ません。Alt キーを押すとアクティベート出来るオブジェクトが表示されるので、探索漏れはある程度防ぐことができます。
会話や探索で提示される選択肢の中には、特定のステータスやスキル、エチケットによって特別に選べるものが数多くあります。コンピューター関連の探索では Decking のスキルが高いと楽に情報を得られたり、交渉事では Strength が高いとゴリ押しや脅迫が出来るみたいです。
ストーリー上、必ず得なければならない情報はどうにかして手に入るようになっています。例えばパスワードでロックされたコンピューターの中の情報が必要な場合、ハッキング出来ればそれで終了ですが、Decking のスキルが低い場合は日記などを読んでパスワードのヒントを探してコンピューターに侵入します。まぁ、読まなければならないテキストがまた増えるわけですが…。
探索モードと戦闘モードはシームレスに切り替わります。戦闘はターン制で自分のターンと敵のターンを交互に繰り返します。行動順に制限は無く各人に与えられた AP の範囲で自由に動けます。カバーの要素もありますし X-COM をイメージすると分かりやすいかもしれません。
AP は2ポイントで固定なんですかね。そのうち増えるのかもしれませんが、今のところ2ポイントです。移動、攻撃、魔法などで1ポイント消費するので、遮蔽まで動いて攻撃したり、移動せずに二回攻撃したり、魔法を使った後に攻撃したり出来ます。
グレネードの類は2ポイント消費するので、どのタイミングで誰に投げさせるかなど考えさせられます。
銃撃は射線が通ってないと攻撃不可だったり、射線を塞ぐ敵や味方に当たってしまうこともあるので、入り組んだマップだと上手くカバーしながら射線を確保するのが難しいですね。ミッション最後の戦闘は複数の方向から敵が出現する事もありました。
魔法はあまり使えていませんが MP のようなリソースは無く、普通の攻撃と同様に AP を消費して発動します。ただし、再使用に数ラウンドのクールダウンが必要になります。クールダウン中に無理やり使うこともできますが HP を消耗するようです。確か TRPG にも魔法使用時の反動みたいな要素がありましたよね。
戦闘はようやく歯ごたえのある場面が出て来ましたが、このゲームの魅力は会話シーンに尽きると思います。台詞だけでなくキャラクターの細かい表情や視線の動きまで書き込まれていて、ビジュアル的に足りない部分を大いに補完してくれます。特に、初対面のキャラクターとの会話では見た目から受ける印象を表情だけでなく、服装から態度まで事細かに説明されるので「大体こんなヤツ」というのを把握しやすいよう工夫されています。
ただ、テキスト量が多くスラングや会話言葉風の記述も多く見られるので、読むのにかなり労力を要します。探索で手に入る日記やメモ書きにヒントやストーリーのエッセンスが織り込まれている事もあり、ある程度の英語の読解力が無いとあまり楽しめないかと思います(ミッションクリアだけを目指すならマーカーに従って移動して、探索できるオブジェクトを全部確認して、選択肢を全て選んでいけば何とかなるかも)。
英語に弱い日本人的にプレイヤーを選ぶ作品であることは間違いないですが、RPG としてはキャラクターを育てて敵をやっつけるのが主目的ではありませんので、そういった面からも向き不向きがしっかり分かれそうな作品です。どちらかと言うと ADV 寄りなのかな? ADV も殆どプレイしたこと無いのでよく分かんないんですけど…。
全身義体化して無双するゲームじゃないのは確かですので、そこだけはご注意ください。